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台湾国民党党首のアドバイザー
昨日のアジア太平洋国際政治の授業には、結局、国民党党首の馬英九氏は来られず、彼の政策アドバイザーであるフランシス・___氏(みよじ、聞き取れず…分かり次第書き換えます…)がゲストスピーカーとしていらっしゃいました。本物の馬氏は、一昨日の公開講座会場の外でしか見れず残念でしたが、政治家から聞くお話とは違う観点でお話を聞くことができました。もちろん、全然国民党から中立の立場でお話してはいませんが、国民党からいらしたのだから、当然です。とはいえ、色々なことが見えてきて、とても興味深いセミナーとなりました。

同氏は「皆さんは国民党のプロパガンダを聞きたいとお考えではないでしょうし、馬氏の代弁者となるつもりもありません。私もアカデミアにいた人間なので、台湾問題の歴史的背景などをお話しします」と前置きをした上、主に3点(アメリカ9・11後の台湾問題、中国大陸政府との関係、ヨーロッパの役割について)についてお話されました。各自の主なポイントをブリーフに挙げると:



9・11後のアジアの安全保障問題:
冷戦後アメリカの一極支配が続いていたが、ヨーロッパとアジアは同じ冷戦を経験したにもかかわらず、冷戦後の安全保障のあり方が全く違う。ヨーロッパは冷戦中から、NATO(北大西洋条約機構)を通じて各々の国が連携して安全保障に対応してきたが、アジア各国は、アメリカとの二国間条約で各国の安全保障問題に対応してきた。もちろん、共産主義国の封じ込め政策の地理的条件も関係してのことではあるが、アメリカとの二国間条約か、多国間条約かによる違いが、現在のヨーロッパとアジアの安全保障のあり方の差異を生み出した。そしてこの違いが、中国の台頭に対応する際に影響を及ぼしている。

中国大陸政府との関係:
20年前、アメリカにとっての脅威は日本であったが、現在は中国を潜在的脅威と認識している。たしかに中国は増大しているが、アメリカにとってどこが脅威なのだろうか。20年前の日本に対してと同じことを言っている。しかし東アジアにとっては、中国の政治的・経済的影響力の増大のみならず、軍事的側面が脅威と言える。中国は2005年3月、反国家分裂法(Anti-secession law:台湾が独立に向けて動けば、非平和的手段(つまり武力)を行使して阻止するという法律)を成立させたが、これは台湾として反発している。
また、アメリカは台湾に対し200億ドルの武器の売却を決定したが、これは非常に高額であるため、国民党は反対。
陳水篇総統は、台湾の国名変更と、台湾人のアイデンティティを高めようとし、独立を希望している。多くの台湾の人々は、台湾人として認識するようになったが、依然として現状維持を希望しているのも事実。アイデンティティの問題は、政治の中でも大きな問題である。
しかし2005年4月に前国民党党首だった連戦氏が中国大陸を訪問し、信頼醸成と経済関係について議論したが、連戦氏が台湾に戻った後、国民党の支持率が上昇。これは何を意味しているのかを考えるべき。
しかし、現状維持を永久に続けることはできない。いづれは主権の問題を解決しなくてはならない。

ヨーロッパができること:
ヨーロッパは、アジアに対して商業的側面のみに関心があり、アジアの問題に関心はあまりないよう。しかし、ヨーロッパのそういったソフトパワーを政治的な目的に利用するのは重要で、中国に対して、グッド ガバナンス(good governance:国の政治、経済、社会運営のあり方に関する概念で、政府が開発の促進と国民の福祉向上を目指して努力し、効果的・効率的に機能し、また、そのために適切な権力の行使を行うこと。民主主義が根幹となると言われる)、政治改革、民主主義の促進を推進できるはず。

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「ヨーロッパができること(ヨーロッパが東アジアの安全保障に対して果たせる役割)」については、どちらかというとヨーロッパで講演しているため付け加えたと言う印象を持ちつつ、特に2番目の点については良かったです。というのも、"最近"の台湾問題について、情報を入手しようとしても、そこに現れてくるのは陳水篇現総統の政策や動きばかりで、最大野党である国民党の動きが見えてこなかった(故意に情報を出さなかったのかどうかは不明ですが)ので、国民党が何を考えているのか、垣間見れたのは良かったです。それに、授業で先生が話していること以外の新しい情報もあったし。

その後の質問コーナーでも、学生から様々な質問が出ていましたが、馬氏が、各々の国からアンチアメリカ、アンチ日本、アンチ中国と、考えられているというのが興味深かったです。

それと、台湾のアイデンティティの問題について、これは高度に政治的でとても不明瞭な問題であるとのこと。フランシス氏の友人の言動を例として、以前は台湾独立を熱烈に希望していた友人が、中国大陸に渡りビジネスや生活を始め、中国の女性と結婚したことで、いまやすぐにでも統一したいと言っているというお話を引き合いに出し、アイデンティティは、経済などの様々な複雑な問題と絡んでくるし、その要素が変化すると、また変わってくるものだから、ある年の統計を引き合いに出して議論できないとのこと。

(先生から学んだことによると、中国大陸への企業進出が増えているにもかかわらず、「自分は台湾人である」という認識を持つ台湾の人の割合は、年々割合が増えているとのことでした。もちろん国民党的には、現在の台湾人の8割が、「自分を程度差はあれ、台湾人と認識している」ことをそのまま受け入れるわけには行かず、独自の解釈をしなくてはなりません。そういえば、中国との統一を考えるときに、「中国の民主化、社会福祉の充実、経済発展の3条件を満たした上で、民意を量る選挙を行う」と言及していますが、3条件がいつそろうか、タイムリミットは置くのかも疑問に思いつつも、条件が揃ってもどういうタイミングで(つまり台湾人であると統計で答える人の数がどれだけのときに)選挙を行うのか、誰がどうやって判断するの?)

フランシス氏は時間をかけて丁寧に学生の質問に答えていて、好感が持てました。同時に、国民党の党是は、中国大陸との統一であるという観点を頭に置いて彼のお話を聞くと、フランシス氏の議論(ひいては国民党の議論)のロジックが見えてきて、それが今回のレクチャーの一番面白い部分でした。

この授業の先生は、台湾問題を専門としていて、過去の卒業試験を見ると、かならず台湾問題についての問いを提示しています。卒業試験対策としても台湾問題を勉強しなくてはならないことから、今回のセミナーはとても良かったです。
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by gwenlondon | 2006-02-16 03:37 | 勉強
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ロンドンに留学していた大学院生です。こちらで見た面白いもの、経験を記録してきましたが、帰国により、ロンドンからの発信は終了となります。これまでありがとうございました。m(_ _)m
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