今週読み始めた本「
Greed and Grievance(貪欲と不満)」には、紛争の本当の原因を探求するという目的に沿った、複数の著者の論文が掲載されています。
より具体的に説明すると、「戦争の歴史の中で、経済的な動機や商業的な利益が存在するのは新しい現象ではない。しかし国際機関やNGOは、現在の内戦が発生し持続している原因として、経済的な動機が大きな役割を果たしていることにあまり注意を向けていないのが現実。」それゆえ、「内戦で敵対しているグループにとっての経済的利害に焦点をあてて紛争の原因に対する理解を深め、「グローバリゼーション」が紛争当事者にどういった経済的機会を提供するか調べ、そして第三者(政府・国際機関、NGO、一般企業など)が、内戦の当事者であるエリートの経済的な利害を戦争の中ではなく、平和の中で見出せるようにシフトさせる政策はどういったものかを検証する」のを目的としています。
まだ読み終わっていないのですが、少し読んだだけでも、けっこう面白いことが書いてあります。かいつまんで内容を説明すると:
これまで伝統的に紛争の原因については、「古くからの民族間の憎しみ」について言われてきたし、これはメディアやNGOがまことしやかに語り続けてきたことにより、定着していった。でも、古くからの憎しみがあったのならば、なぜ20世紀に入ってからこういった紛争が発生するようになったのか、つまり、なぜその前の時代に発生しなかったのかが説明できない。そこで著者たちは、現在の紛争は、勝つか負けるか、政権をとるかどうかといった植民地からの独立時代の紛争の目的よりも、紛争は様々な種類の暴力を正当化させるために、また自分の経済的、精神的欲望を満たし、それを継続させるために紛争が利用されていると説明しています。例を挙げれば、紛争の発生により、それが市民から搾取をする正当(に聞こえる)な理由にもなるし、戦争は市場での価格の変動を引き起こすから、それにより利益を得る人もいる(特に軍需産業)、それに武器を持つ強い者が弱い者を労働力として搾取することで利益を得る人もいる。また、国際社会からの支援物資を抜き取って利益を得ることも可能である。
とのこと。まだ一章しか読んでいないから、何の結論も書けませんが…。
紛争の発生には人間の醜い部分が多分に関わっていると思います。上記の経済上の目的が紛争を長期化させているという議論もそう。そして、そんな醜い部分をさらけ出さなくてはならない状況に置かれた人は誰であれ、今も紛争下で戦っている人たちと同じような状況に陥らざるを得なくなるのだろうと思います。
人間のそういった醜い部分を直視し、解決法を模索するという意味では、社会心理学と国際関係学の学問の根底では、つながりがあるのかもしれません。社会心理学を学ぶ人は、人間の心をより深く理解したいと思っているのではないかと推察しますが、国際関係を学ぶ人も同じような心理を持っているのかも、と思いました。
ちなみに、寮のインターネットの工事があるとかで、26日朝から30日まで、インターネットが利用できません~。工事終了後、またメッセージ残します。