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土曜日。ロンドンの天気は快晴でした。

昨日金曜日、今学期自分の当たった発表の中でも一番大変と思われる発表を終えました。課題は「エージェントとストラクチャーの問題(The Agent-Structure Problem)」に答えること。国際関係の問題を考えるときに、エージェント(国とか個人とかのアクター)とストラクチャー(冷戦とか、アクターが動いている環境)の関係をどうやって概念化するか(関係の受け取り方)という問題です。できる限り専門用語を使わずに説明すると:

国際関係を見たときに、アクターは目に見えるものに基づいて行動を決める、と考える経験主義(Empiricism: to define international system structures in terms of the observable atgtributes of their member states)を取る人と、いや、目に見えるもの以外のものだって大切、例えば信頼とか、常識とか、法律とか、人の頭の中に存在するものではあるが、アクターは皆んなで共有しているものに基づいて行動を決める、と考える科学現実主義(Scientific realism: to define international structures in terms of the fundamental organizing principles which underlie and constitute states)とがあります。これを頭の片隅に置いといて、

エージェントとストラクチャーの問題を見たときに、基本的に2つの立場があります。

1つはストラクチャーをより重視して国際関係を見るという考え方(Structure-oriented theory)。これは、社会は目的をもったアクター間での相互作用というストラクチャーである社会的な関係で成り立っているというもの。つまり、ストラクチャーは国際関係で現れる結果や成果を考えるときにより重要なものであるという考え方。
例として、日本とアメリカの関係が挙げられます。日本の安全保障はアメリカに多くを負っているけれども、そのストラクチャーのおかげで、アメリカが日本から支持を得たいと思うような問題に対し、日本はできるだけそのように行動せざるを得ない状況になっているといえる。2004年のイラク戦争に賛成をし、自衛隊まで派遣することになったこともそれの1つ。2004年のイラクの自衛隊派遣延長に対する世論調査では、新聞社により数値は異なるけれど、50~77パーセントの人が反対しているにもかかわらず、派遣は延長されている。ほら、日本の決定は、ストラクチャーに左右されているでしょう。

もう1つは、エージェントをより重視して国際関係を見るという考え方(Structure-oriented theory)。これは、人間や人間の作った組織体というのは目的の持ったアクターであり、人間の社会は、人間の行動によって作り変えられたり、変容していくというもの。つまり、人間は社会のロボットではなく、自分の意思を持っているし、自分で行動を決める。そして、時にはストラクチャーを気にせず行動を決定している、アクターの方が大切であるという考え方。
例として、冷戦の終結が挙げられます。冷戦というストラクチャーは40年以上続いたけれども、ゴルバチョフというアクターの登場により、冷戦は崩壊した。ほら、アクターがストラクチャーを変えたじゃない!

ちなみに、上記はとても単純化されています。冷戦の終了についてはゴルバチョフ1人のおかげではなく、色々な要素があるし。

では、どちらが正しいの? ウェント(Wendt)という学者によると、上記の考え方は両方ともエージェントやストラクチャーを強調しすぎている、とのこと。彼の取る構造理論(Structuration theory)のコアな考え方で、この問題を説明すると
- エージェントとストラクチャーは独立した関係ではない
- 社会構造は、エージェントが生み出した媒体であり、結果でもある、つまり私たちの常識とか社会構造は行動を通じて生み出され、変化している
- だから、ストラクチャーはエージェントの外にあるものではない
- そして、ストラクチャーは具体化したり客観化できるものではない。

というわけです。
まぁ、これについてだけではありませんが、この問題には誰もが同意できる答えは存在しないことが分かったので、プレゼンテーションの最後に、では皆さんの答えは何ですか? と聞いておきました。

上記、頑張って単純化して誰でも理解できるように書いてみましたが、難しいですね。

ちなみに、同じクラスを取っている仲良しの女の子に「国際関係論もやったことない人が、大学院に入って2か月も経たないうちに、いきなり国際関係の哲学を説明することになるなんて、アンラッキーねぇ」といわれました。でも、当たらない限りこんなこと考えることもなかったかもと思えば、いい機会だったと思います。
以前どこかで聞いたけれども、哲学的思考を持つのは重要。哲学を勉強すれば、付け焼刃的な議論ではなく、自分の論陣を張って議論することができるようになる訓練になる。だから、自分の専門分野だけを勉強するのではなく、哲学を学ぶのは、特に上級管理職になったときに役に立つのだよって。私は残念ながら哲学を学んだことはないのですが、これをきっかけにもうすこしかじれたらいいなと思います。
セミナーで発表が当たると、ギャーって思うのですが、発表のために必死になってジャーナルを読んだりして、理解を深めようと努力するので、結果的にはじぶんのためにすごくなっているのですよね。苦痛だけどウレシイ。

あと、発表後に先生が、「あなたのプレゼンテーション、良いと思うよ(I like your presentation)」といってくれたのが、とても嬉しかったです。
大学の学部で文学部だったのは私だけなのを先生は知っているので、プレゼンテーションを始める前に、「Wendtのジャーナルを読んで何パーセント理解した?」と質問されました。「分からない…ので、プレゼンテーションが終わったら何パーセント理解しているとお考えになるか評価してください」と伝え、授業の終わりに聞いたら、「20パーセント」と言われました。実は私的には5パーセントがいいところだと思っていたので、気前がいいと思ったのですが、先生が「私自身、この問題は30パーセントくらいしか理解していないよ。この問題の答えは一人一人の中にあるのだし、ジャーナルに書かれていることが全て正しいとは限らない。これはひとつの考え方に過ぎないのだから」と言ってくださいました。先生優しいね~、温かいね~(涙)。こうやって励まされ、挫折せずに済み、頑張ろうと思わせてくれる先生に会えたのは幸せなことだね。

でも、今回の発表は上記に書いた以外のことも話したけれど、私のスーパーバイザーが時間をかけ、このような抽象的な問題を説明してくれたおかげで発表ができました。そして、上記の一番仲良しのクラスメート(オックスフォードのカレッジで国際関係を勉強し、今年の夏に学部を卒業した学生…どうひいき目で見ても、上記セミナーに参加する学生の中で最も優秀。ウラヤマシイ)からも、いっぱい説明を受けたし、本当にいい人が回りに沢山いるなぁと思った次第です。発表1つでさえも、自分1人でできない私もちょっとふがいないけど、色々と教えてくれる皆さんに感謝しないとね。と、とても幸せな気持ちになったのでした。私の周りにいる人は、ほとんどいい人でよかった。感謝感謝。

今学期も残り3週間。その間にエッセー2本と、「紛争と平和研究」のセミナーで発表をしなくてはなりません。つかの間の平和を楽しんだこの土曜日、けっきょく食べる以外は寝るか、電話で話すか、ブログを書くかしかしませんでした…。明日からはまた勉学にもどらなくてはね。今日は勉強を忘れます。
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by gwenlondon | 2005-11-20 07:32 | 勉強
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ロンドンに留学していた大学院生です。こちらで見た面白いもの、経験を記録してきましたが、帰国により、ロンドンからの発信は終了となります。これまでありがとうございました。m(_ _)m
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